「離見の見」のおはなし
京都大学長 山極寿一氏が毎日新聞でアートとサイエンスのおはなしを書かれていました。ゴリラの研究のえらい人だそうです。
以前に山極さんの講演会のオファーをしてくださった方がいらっしゃいましたが、興味がないと断固拒否した覚えがあります。いつ何時、面白い話が聴けるかわからない世の中です。好き嫌いは若いうちに済ませておきましょうねみなさま。
お題の「離見の見」とは。
山極さんが引用されてましたが、元をたどれば世阿弥さんが言った言葉だそうです。
世阿弥さんとは、室町時代に生きた、現代で言う「能」という日本の伝統的なお芝居のえらい人です。
「見所同見」とも言うらしく、ここまで字を並べたらなんとなく雰囲気で伝わるでしょうか。
離れて見て、さらに見る。
見る所(観客席)から見る。
こんな説明で良いですかみなさま。
自分のしていることを離れて見てみましょう。そこの社長さん、そこのお嬢さん、他人にはこんな風に見えてますよ。あなたは分かってそうしてはるんですか?
まるでマナーのおはなしになっているみたいですが、もともと「能」文化の言葉です。アートのおはなしですね。
でもいい言葉やねって言われて、山極さんも使いはったり、ビジネスの世界でも大切に思われているみたいです。
今、京都の古い珈琲店で、美味しいアイスコーヒーを飲みながら、約束の時間まで新聞を読んでゆるやかに過ごしているのですが、大きな荷物を持って入店したのでした。
一通りの注文やら配膳などが終わったら、お荷物をお預かりしましょうかと店員さんに言われ、重いですがとお預けしました。
私の座った四人掛けの長いテーブルは、オリジナルマッチの入った大きな二つの灰皿で区分され、四人座れるようにセッティングされています。
なるほど。
相席が当たり前のお店で、大きな荷物はお邪魔です。店員さんはどかせてもらってええかと言われたんですね。
待ち合わせの時間までまだ少しあります。店内が混まずに時間までいれたらいいなぁとまわりに気を配りながら、は、と気づきました。
新聞を読んで真面目な気持ちになって、なんだかソワソワと一人アイスコーヒーをすすっていますが、これが思ったより結構お高い珈琲だったのです。
時間と場所を少々買わせてもらっているんですよね。
ほんならせめて、と、レトロなマッチをお土産に店を後にしました。
珈琲一杯でけちんぼなおはなしですが、あらあの人長居しはったのにマッチまで持って帰りはったわ。なんて思われてるのかなと想像しながら、
"りけんのけん〜りみのみ〜読み方分からないな〜"
とはな歌を歌いながら、初夏の京都をふらりふらりと歩いて目的地へ向かったのでした。

0 件のコメント:
コメントを投稿